湿地

湿地帯の消滅に伴う費用と影響

Otter and wetlands. Image by Information for Action, a website for conservation and environmental issues offering solutions

湿地帯の消滅は周辺の生態系や湿地帯を生息地や食糧供給地としている生物に直接的な影響を与えます。ここでは主な3つの湿地帯の消滅に伴う費用と影響を挙げます。

  • 洪水の増加 - 湿地帯は洪水発生時、一時的に水を閉じこめ、その後ゆっくりと水を流すことができます。この機能により、水量が調節され洪水時に下流を守ります。しかし、湿地帯が変形されたり削り取とらていた場合、湿地帯に流ていた洪水は行き場を失い、今まで水が流れることのなかった地域に流れます。この現象により更なる洪水の発生や土壌浸食を発生させる可能性を高めます。

  • 野生生物における生息地の消滅 - 湿地帯を破壊すれば、直接的に湿地帯における生態系の中に存在していた動物や植物も消滅させます。この行為は食物連鎖のバランスを崩し、湿地帯と関係の深い種を絶滅の危機に追いやります。湿地帯に生息しているすべての種はライフサイクルを形成し、複雑に相互影響し合い互いに連結しています。もし一つの種が消え去れば、すべての複雑に絡み合った食物関係が絶滅の危機にさらされます。これは、その後の生態系全体の消滅にさえ結びつきます。これらの理由から湿地帯は生物多様性を保護するために必要不可欠といえます。

  • 水質の低下 - 湿地帯が消滅すると湿地帯によって作り出される自然の化学的浄水作用をも消滅させます。自動車、化学肥料、殺虫剤、除草剤の利用が増えるに連れて身近な河川への汚染物質も増えるのです。

アメリカのミシシッピ川における水質の汚染は湿地の消滅によって水質汚染が生じた良く知られている代表例です。農業用に利用された化学肥料からの栄養分や侵食から生じた大量の沈殿物が小川や河川に流されました。それらは現在エバーグレーズ湿地帯(フロリダ州の大沼沢地)を通り抜けることなくミシシッピ川に流されています。エバーグレーズ湿地帯はかつてアメリカ中西部から流れる水に含まれる化学肥料に含まれる硝酸カリウムやリン酸塩またバクテリアや沈殿物などの物質のフィルターとして機能していました。行き場を失った汚染物質はメキシコ湾まで流れつき生態系に多大な悪影響を与えています。

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